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広島地方裁判所 昭和51年(わ)626号 判決

本店所在地

広島市庚午南一丁目三四番八号

法人の名称

株式会社 丸山ツキ板商店

代表者の氏名

代表取締役 丸山喜一郎

本籍

大阪府門真市大字岸和田八二一番地の三

住居

右同所

会社役員

丸山喜一郎

明治四四年三月一一日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官島田清出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告会社株式会社丸山ツキ板商店を罰金五〇〇万円に、被告人丸山喜一郎を懲役六月にそれぞれ処する。

被告人丸山喜一郎に対しこの裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用はその二分の一ずつを被告会社株式会社丸山ツキ板商店および被告人丸山喜一郎の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社丸山ツキ板商店は、広島市庚午南一丁目三四番八号に本店を置き、ツキ板及び化粧合板の販販等の事業を営んでいるもの、被告人丸山喜一郎は、右会社の代表取締役でその業務全般を統轄していたものであるが、被告人丸山喜一郎は、同会社取締役丸山静男と共謀のうえ、被告会社の業務に関し、所定の法人税を不正に免れる目的で売上の一部を除外し、あるいは仕入れを仮装する等の方法により所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和四七年七月一日から昭和四八年六月三〇日までの事業年度において、所得金額は別紙(一)のNo.1ないし4のとおり三八、一八五、二九七円でこれに対する法人税額が、別紙(二)のNo.1のとおり一三、四七一、八〇〇円であるにもかかわらず、昭和四八年八月三〇日、同市加古町九番一号所在の広島西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一〇、六八六、三九一円で、これに対する法人税額が三、三八二、〇〇〇円である旨の金額過少の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により差引一〇、〇八九、八〇〇円の法人税を免れ

第二  昭和四八年七月一日から昭和四九年六月三〇日までの事業年度において、所得金額は別紙(一)のNo.5ないし8のとおり四二、八一九、二三六円でこれに対する法人税額が、別紙(二)のNo.2のとおり一五、九五八、七〇〇円であるにもかかわらず、昭和四九年八月三〇日、前記広島西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二一、〇二一、〇七九円で、これに対する法人税額が七、二六三、六〇〇円である旨の金額過少の法人税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により、差引八、六九五、一〇〇円の法人税を免れ

第三  昭和四九年七月一日から昭和五〇年六月三〇日までの事業年度において、所得金額は別紙(一)のNo.9ないし12のとおり二四、九〇七、二七二円でこれに対する法人税額が、別紙(二)のNo.3のとおり八、七五三、六〇〇円であるにもかかわらず、昭和五〇年八月三〇日、前記広島西税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一〇、三二二、九五九円で、これに対する法人税額が二、九四二、七〇〇円である旨の金額過少の法人税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により、差引五、八一〇、九〇〇円の法人税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人丸山喜一郎(以下被告人と略称)の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書三通

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書五通

一、丸山静雄の検察官に対する供述調書三通

一、同人の大蔵事務官に対する質問てん末書一〇通

一、同人名義の答申書(但し作成者は鈴木宏忠)

一、大蔵事務官今村四郎(昭和五一年五月二八日付(二通)、同年八月二七日付)、同松田重政(同年三月二九日付)、同岩崎清吉郎(四通)および同片岡保洋各作成の各調査事績報告書

一、株式会社三和銀行大和田支店大野貞一作成の証明書(二通)

一、扇産業有限会社三浦譲次および山陽銘木株式会社高下剛和各作成の各取引内容照会に対する回答書

一、広島西税務署長作成の青色申告承認申請取消決定書謄本

一、押収してある月別売上仕入対比表一綴(昭和五一年押第二一五号の一六)、別会計綴一綴(同号の一八)、三和銀行大和田支店普通預金通帳(自四八、三、二九至四九、七、三一)一綴(同号の一九)、パーフュクトピンデシグノート一冊(同号の二二)、決算関係書類綴一綴(同号の二六)および法人税決議書綴一綴(同号の二七)

判示第一および第二の各事実につき

一、広和産業株式会社坂岡弘、(有)末包木材工業末包重雄、有限会社田村家具室内装飾田村佳男、有限会社ツキ板丸和今村光情および東洋建装株式会社各作成の各取引内容照会に対する回答書

判示第一および第三の各事実につき

一、坂本昭二の検察官に対する供述調書

一、コダニ建装株式会社小谷正弘作成の取引内容照会に対する回答書

判示第一の事実につき

一、武内良則、田中久太および坂本昭二の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、大蔵事務官松田重政作成の各調査事績報告書(昭和五一年三月一六日付三通)

一、青柳木工有限会社青柳宗勝作成の証明書二通

一、右同人、秋田木工所秋田勇(昭和五一年三月二日付)、かわもと家具工業、有限会社栗栖製作所栗栖芳香、江津地区木材協同組合森口馨、(株)信成成松信吾、高橋誉富および株式会社水永化粧合板各作成の各取引内容照会に対する回答書

一、押収してある総勘定元帳(自昭和四六・七・一至昭四七・六・三〇および自昭四七・七・一至昭四八・六・三〇)二綴(前同押号の一、二)、得意先元帳(自昭四六・七・一至昭四七・六・三〇および自昭四七・七・一至昭四八・六・三〇)二綴(同号の八、九)、仕入関係綴(昭四八年度分)一綴(同号の一三)および三和銀行大和田支店普通預金通帳(自昭四六・一・一九至昭四八・三・二九)一冊(同号の二一)

判示第二の事実につき

一、高橋誉富および西本尊夫の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、大蔵事務官今村四郎作成の調査事績報告書(昭和五一年四月一九日付)

一、株式会社伊坂務作成の証明書

一、秋田木工所秋田勇(昭和五一年三月一九日付)、伊藤弘木材有限会社伊藤弘行、賀茂建材株式会社西原司、小松木工所小松健市、株式会社サンユウ柳川道呂、徳永木工所徳永勝、西田木工所西田正行および湯田木工株式会社湯田則康各作成の各取引内容照会に対する回答書

一、押収してある総勘定元帳(自昭四八・七・一至昭四九・六・三〇)一綴(前回押号の三)、得意先元帳(自昭四八・七・一至昭四九・六・三〇)一綴(同号の一〇)、手形受払帳一冊(同号の一二)、昭和四九年度仕入領収証綴一綴(同号の一四)、深城単板工業株式会社の仕入買掛金帳三綴(同号の二三)および右同手形受払帳三綴(同号の二四)

判示第二および第三の各事実につき

一、三和銀行大和田支店大野貞一作成の上申書

一、広島信用金庫庚午支店名柄威および中国銀行舟入支店矢吹芳郎各作成の各証明書

一、有限会社共伸家具製作所井上孝道、株式会社桜井商店広島支店桜井正幸、株式会社三洋ベニヤ商会河野健吉、株式会社信和伊藤浩喜および株式会社部谷工務店部谷二三明各作成の各取引内容照会に対する回答書

一、押収してある昭和四九年度経費領収書綴一綴(前同押号の一五)、代金取立手形通帳一冊(同号の一七)、仕入帳三枚(同号の三一)および領収書綴一綴(同号の三二)

判示三の事実につき

一、鏡宏至の検察官に対する供述調書

一、三好政明、深城和夫および鏡宏至の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、三和銀行広島支店秦哲也および有限会社立鏡産業鏡宏至各作成の各証明書

一、有限会社旭木工所久保實、株式会社奥平建材奥平吉秀、有限会社河野清秋木材店河野清秋、有限会社川本木材川本実夫、三光林産有限会社光廣利夫、有限会社長松銘木商会長松秀荘、西田木工所西田周弘、日輝工業株式会社宮本光保、福山通連株式会社広島支店来山昤俊、有限会社丸万商店丸重克己、宮崎商会宮崎浩および有限会社山内和家具製作所山内繁各作成の各取引内容照会に対する回答書

一、押収してある総勘定元帳四綴(自昭四九・七・一至昭五〇・六・三〇)(前同押号の四ないし七)、得意先元帳(自昭四九・七・一至昭五〇・六・三〇)一綴(同号の一一)三和銀行大和田支店普通預金通帳(自昭四九・七・三一至昭五〇・七・三)一冊(同号の二〇)および約束手形一通(同号の二八)

(法令の適用)

被告人丸山喜一郎の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項(七四条一項)に該当するので所定刑中いずれも懲役刑のみを選択し、右は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役六月に処し、情状により同法二五条一項を適用し、この裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予し、被告会社については、その代表者である被告人丸山喜一郎が被告会社の業務に関し判示第一ないし第三の各行為をしたので、同会社に対しては法人税法一六四条一項に従い同法一五九条一項所定の罰金刑をそれぞれ科し、右は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪につき定めた罰金を合算し、その金額の範囲内で被告会社を罰金五〇〇万円に処し、訴訟費用については刑訴法一八一条一項本文によりその二分の一ずつを被告人丸山喜一郎および被告会社に負担させることとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 正木勝彦)

別紙(一)

修正損益計算書

No.1

自 昭和47年7月1日

至 昭和48年6月30日

No.2

修正損益計算書

No.3

No.4

(注) 所得金額は当期利益金(修正金額)から、〈25〉受取利息のうち、実際に入った銀行利息金以外を差引いたもの

38,200,312-(55,121-40,106)=38,185,297

修正損益計算書

No.5

自 昭和48年7月1日

至 昭和49年6月30日

No.6

No.7

No.8

(注) 所得金額は、当期利益金(修正金額)から、〈28〉受取利息のうち、実際に入った銀行利息金以外を差引いたもの

43,463,417-(1,027,121-382,940)=42,819,236

修正損益計算書

No.9

自 昭和49年7月1日

至 昭和50年6月30日

No.10

No.11

No.12

(注) 所得金額は、当期利益金(修正金額)から、〈27〉受取利息のうち、実際に入った銀行利息金以外を差引いたもの

25,835,810-(2409,084-1,480,546)=24,907,272

別紙(二)

No.1

脱税額計算書

自 昭和47年7月1日

至 昭和48年6月30日

税額の計算

No.2

脱税額計算書

自 昭和48年7月1日

至 昭和49年6月30日

税額の税額

No.3

脱税額計算書

自 昭和49年7月1日

至 昭和50年6月30日

税額の計算

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